2003年11月10日 “キノコがニガテ”
“世界最大の生物”というと何を思い浮かべるだろう。 陸上最大の生物はアフリカ象(体長7m体重8t)だそうだ。 海に目を向ければシロナガスクジラ(体長33m体重200t)なんかもいて、 幼い頃はこのシロナガスクジラが最大の生物だと教えられた。 なにしろ最大の恐竜ブラキオサウルス(体長30m体重200t)より大きいんだから 名実共に(?)“世界最大の生物”なんだと感心したものだった。 そんなシロナガスクジラも“世界最大の樹木”にはかなわない。 なにしろ北米原産のセンペルセコイアというスギの木は 最大で124mという記録を持っているらしい。まさに最大。
ところが、最近の研究によると“世界最大の生物”は、 なんとキノコ、ということになるらしい。 といっても、巨大キノコがぼがーんと生えるワケじゃない。 ナラタケという直径3〜4cmの、見た目ふつーのキノコだ。 しかも食べれる。けっこう美味、らしい。
一般に“キノコ”と呼ばれているカサ&イシヅキの部分は 実は“子実体”といって、植物で言えば花や果実にあたり、 幹や根にあたる本体は、地中にある菌糸の集団なんだそうな。 菌糸はさかんに分岐しながら先端で成長し、しだいに勢力を広げていく。 で、この集団の拡大がすなわち個体の成長、ということになるらしい。 山でマツタケを見つけたら、その周辺には必ずといっていいほど 2本目、3本目が生えているとマツタケ採り名人が言っていた。 それらのマツタケは同じ木に実った果実ってワケ。
1992年、アメリカの研究チームが、 アメリカ合衆国ミシガン州の広葉樹林のA、B、C、D地点に それぞれ生えていたヤワナラタケを採集してDNAを調べたところ、 これがなんとみごとに一致した。 つまりそれらは一つの個体、一匹の生物だったってことだ。 恐ろしいことに一つの個体で広さ15ヘクタール、重さ推定約100tの体を持ち、 推定年齢約1500年に達するという、ミシガン州のヤワナラタケ。 山ひとつ丸々ナラタケの菌糸に覆い尽くされてるってわけだ。 しかもナラタケは冬虫夏草類なんかと同じ寄生生物。 樹木に寄生して養分をとり、ときには宿主を枯らしてしまうらしい。 うげえ。
僕はキノコがニガテだ。 いや、食べるのは好きなんスよ。おいしいです。 生えてるのがダメなのだ。怖くて近寄れない。 なぜニガテなのかは自分でもよく判らない。 毒キノコのせいかもしれない。 胞子をばらまくからかもしれない。 じめじめしたトコに生えるからかも。 菌類ってのがカビを連想させるのかもしれない。 見た目がグロテスクなせいもあるだろう。 『風の谷のナウシカ』の観過ぎかもしれない。 そのセンが濃厚かもしれない。 …。
ま、そんなワケでナラタケの話を聞いたときには、 怖くて気を失いそうになった。 今もこの日記を書いていて気絶しそうになったほどだ。
みんなもキノコに気を許しちゃだめだぜ。 やつらはすぐそばまで来ているかもしれないのだから。 なにしろナラタケに汚染された森では、 池の底に沈んだ倒木にまで菌糸はびっしり伸びていて、 良く見ると浮かんでいる木片までが菌糸で繋がれていたそうだ。
殺 ら れ る ぜ、 ま じ で 。
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